玉川野毛町パークらぼに参加しませんか?
活動記録

拡張予定地の一部開園イベントレポート


令和5(2023)年10月から始まった玉川野毛町公園第1期拡張予定地整備は、令和6(2024)年3月30日、一部区域を開園しました!たくさんの区民の皆さまに親しんでいただく場となるように開催された「オープンパークイベント」当日の様子をレポートします。

当日は朝から快晴で、春の陽気のなか午前10時からイベントがスタートしました。拡張予定地の一部開園区域とイベントのために暫定的に公開したエリア内には工事の整備状況や設計図、公園の開園スケジュールのほか、区民主体の活動「玉川野毛町パークらぼ」(以下、パークらぼ)の紹介パネルなどが並びました。

これまで外周が背の高い囲いで覆われていた公園のベールが少し開き、関心を持ちながら様子を眺めていた近隣の方々や、同公園の既開園区域へ当日遊びに来ていた方々も含め718人もの来場がありました。「新しい公園」への期待感やワクワクが伝わって来ます。

一部開園だけど「オープンパーク」イベント

玉川野毛町公園の拡張予定地整備が完了するのは令和7(2025)年度の末。にも関わらず、「オープンパーク」としてイベントを開催することこそが、新しい玉川野毛町公園らしさを表しています。

この公園が持つ「100年後にも地域で愛されている公園を見据えて、作り込みすぎず、日々の試行錯誤の余白があること」という理念に沿って、区民が主体的に関わり、地域とつながりをもち、人との関わりによって「少しずつ」公園を育んでいく公園づくりが令和元(2019)年から進められてきました。

予定地の整備が完了するのを待たず、「少しずつ」でもこの場所に親しむ機会をつくりたい、そんな思いが込められています。

リンク:区、区民が話し合いを通して取りまとめた、協働で進める公園運営の指針 玉川野毛町パークらぼ コンセプトブック

イベントのために当日のみ開放された工事柵内に入場すると、まず園路の内側にグリーンネットで仕切られた養生中の芝生エリアが目に入りました。また、ところどころに様々な形の新しいヒノキの天然木ベンチやテーブルが設置されており、ファミリーがピクニックランチを広げていたり、木陰のベンチで森林浴をするカップルなど、早速思い思いに楽しんでいる様子が印象的でした。

拡張予定地から既開園区域方面を眺めると、玉川野毛町公園のランドマークともいえる古墳がどん!と目の前にそびえ立っていました。さらに散策の足を進めると、国家公務員宿舎地時代に植えられた夏みかんの木が、時を重ねて育ち続けている風景にも目を引かれました。たわわに実った果実がエリア内のあちこちでゴロンゴロンと転がっている様子は、管理された公園では見られない光景であり、既存の緑を整備後も残して大切に育てていこうという、新しい公園づくりへの思いが伝わって来るようです。

国家公務員宿舎地時代に植えられた夏みかんの木

午前と午後に2回行われた「ランドスケープツアー」では、設計者と共に区域内各所を巡りました。敷設された周回路の透水コンクリートや盛り土(マウンド)などを見ながら、建物の用途や園内の風景まで、「作り込みすぎない」という意図が反映された設計についての説明を聞くことができました。

「たぶん古墳の横辺りに富士山が見えるようになるはず」と、ビューポイントでの自撮りをする設計者のE-DESIGN石原康宏さん。

パークらぼ:思いを伝えて、共感の輪を広げよう

「パークらぼ」は、この場所を「私たちの暮らしの舞台」としてどう豊かに使うか、みんなで試行錯誤しながら公園を育てていく、区民主体の「取り組み」のことです。3名以上をメンバーとした各プロジェクトチームが、「アクティブDAY」などで継続的な活動を行ってきました。

現在は、「どんぐりプロジェクト」「キッズ」「生きもの調査」「青空ヨガ」「暮らしのウェルネス」「チーム循環」「nogemachi ヒストリー」「動物ふれあい」の8つのプロジェクトが展開されています。

今回のオープンパークイベントでは、各プロジェクトのメンバーが「古墳散策ツアー」「絵本づくりのアイデア募集!」「公園の『フェーズフリー』を考えよう」「楽しく始める生ごみコンポスト」「青空ヨガ」「どんぐりプロジェクト」「タンポポ観察ツアー2024」などの体験プログラムを提供しました。

どのプログラムにも、この場所を日常生活の一部として感じ、次世代にも愛される公園として育て、来場者との対話を通じて共感の輪をさらに広げようとする思いが込められていました。

「オープンマインドな人たちが他者に親切にできる公園」へ

当日、お子さんと一緒に来園されていた玉川野毛町パークらぼのアドバイザーでもある東京都市大学の坂倉杏介教授が、イベントの感想を次のように話してくださいました。

「野毛公園のような、それなりに大規模な公園に『いい感じのパブリック』を実装していく難しさはたくさんありますが、こんな感じで開園前からちょっとずつオープンする練習を丁寧に重ねていけば、2年後、ほんとに気持ち良い、オープンマインドな人たちが他者に親切にできる公園ができるんじゃないか、と可能性を具体的に実感する日でした。」

工事完了を記念して、「草地の広場」仕上げるための種まき体験。芝やクローバーなどの種をつけた泥でおだんごをつくります。「たねダンゴ」3兄弟の手作りパペットがかわいい!

拡張予定地は今後、草地広場が一定期間の養生後に開園します。また、11月ごろから第2期工事が始まり、拠点施設の整備やバックヤード・防災倉庫の整備が行われ、令和7(2025)年度末には全体が完成する予定です。

工事の進捗状況と公園の開園スケジュール(パークらぼ通信7号6pより)

現在、パークらぼのメンバー登録者は約320人。自分たちの街の未来を夢見て、公園拡張をきっかけにした「みんなで進める公園づくり」の取り組みに、さらに多くの関心と参加者が増えて「多次元の拡張」が起きたら、世田谷から新しいパブリックのカタチが生まれるのではないでしょうか。


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